日本女子プロ野球リーグ『京都フローラ』の京都出身選手たちにインタビュー
皆さんは女子プロ野球があることをご存知ですか?
野球は「男性のスポーツ」というイメージが強いですが、日本はWBSC(女子野球ワールドカップ)で6連覇中であり、世界一女子野球が強い国です。
女子プロ野球は京都の企業である株式会社わかさ生活の社長角谷社長の「夢を追う女子野球選手のために夢の舞台を創りたい」という想いから、2010年に誕生しました。
全国には4つ(うち1つは育成チーム)の女子プロ野球チームがあり、その1つが京都を基盤とした「京都フローラ」です。
京都フローラは今年度春季・夏季リーグとも優勝している女子プロ野球界の強豪チームです。
そんなチームでご活躍されている京都出身の選手3名に、今回インタビューさせていただきました!
新人の田中選手、2015年に角谷賞(MVP)も獲得された左のエース植村選手、女子プロ野球最年長でレジェンドと呼ばれる小西選手の3名です。
野球の話から京都の好きな場所、オフの日の過ごし方まで。
野球が好きな人、京都が好きな人、プロスポーツ選手の日常が気になる人、全員必見です!
今回取材させていただいた選手(全員京都出身)
田中 亜里沙 選手(プロ1年目)
植村 美奈子 選手(プロ9年目)
小西 美加 選手(プロ10年目、選手兼投手コーチ)
田中 亜里沙 選手
ポジション:外野手
出身:長岡京市
京都オススメスポット:貴船神社
――まずは、なぜ野球を始められたのか、お聞かせ下さい。
私の3つ上の兄が野球をしていて、グラウンドに遊びに行ったところ、父兄の方に誘われて参加したのがきっかけです。
小中学生の頃は高槻市のクラブチームに参加し、女の子3人くらいいましたが、基本は男の子と一緒に練習していました。
――なぜ将来プロ野球選手を目指そうと思われたのですか?
中学生の頃、自身の中学校のグラウンドに女子プロ野球の選手が来て、一緒に練習をしていました。
間近で見ることができ、また一緒に練習させてもらう中で自然に憧れるようになったんです。
野球が大好きだったので高校でも野球を続けたいと思い、女子硬式野球部がある福知山成美高校に進学しました。
その後高校3年、大学2年、4年のときにWBSCがあり、代表選手候補として選んでいただいたんですが、プロの選手と一緒に練習する中で、アマチュアと違いレベルが高いことに驚きました。
高校3年生の頃にはプロ野球選手になりたいと思うようになっていましたね。
――今年から京都フローラでプロ選手として活躍されていますが、京都のチームに所属してよかったなぁと思うことはありますか?
春季リーグでは地元の友達や親戚が沢山試合を見に来てくれて嬉しかったです。
また、中学のころに一緒に練習させてもらった憧れの創設時のメンバー(現在フローラには5名在籍)と一緒に練習できるのが嬉しいです。
あとは強いチームで、選手層が厚い。
強いチームに加入出来たことを嬉しく思っています。
――オフの日は何されていますか?
今はシーズン中で忙しく、オフの日は家で休んでいることが多いのですが、春季リーグのオフの時は時間があったのでカフェによく行っていました。
いつもと違うことがしたいので、家にいるより外に出たい派ですね。
――最後に京都人へのメッセージをお願いします。
是非多くの方に試合に見に来ていただきたいです。
声援が力になります。
京都に限らず、野球をしている子は、是非今後も野球を続けてほしいです。
植村 美奈子 選手
ポジション:投手
出身:福知山市
京都オススメスポット:八坂庚申堂
――まずはなぜ野球を始められたのか、教えてください。
父が草野球をしており、幼い頃から2人の兄と一緒によく父の練習場に連れて行ってもらっていました。
兄たちが野球を始めたのに影響され、幼稚園生の頃から自分も参加したいと思い、野球を始めました。
当時は周りに野球をしている女の子はいなくて、中学三年生まで紅一点で野球をしていましたね。
――周りに女子がいない環境で野球をするのはつらくなかったですか?
中学1年生の頃は2つ上の兄が3年生としていたので、特に不安は感じませんでした。
その後も仲間たちは同じ目線で受け入れてくれたので、居心地が悪いということはなかったです。
小学生のころから男子同級生に負けたくないという気持ちが大きかったですね。
すでに中学生になる頃には160センチ以上あって、周りの男の子たちよりも頭一つ分大きかったです。
体格に恵まれたおかげもあって、中学3年間エースとしてピッチャーをしていました。
それでも男子よりも球のスピードが遅かったので、コントロールでは負けたくないと思い、自分だけの武器を作ろうと練習しました。
あと、中学生の時には他学校の人から女という理由でなめられるのが嫌で、坊主にしました。親に玄関でやってもらいました(笑)
――すごいですね。それほど野球がお好きだったんですね。野球人生の中でつらかったことはなかったですか?
ありますよ。
中学生の時、練習試合で最後まで相手校に女だと気が付かれなかったこととか(笑)
普通、整列の時の声で気が付くと思うんですけどね(笑)
―プロ野球選手になろうと思ったのはなぜですか?
高校は野球留学で鹿児島の高校へ行ったんですが、高校2年生の時に女子プロ野球が設立されました。
最初は大学に進学しようと思っていましたが、高校3年生の時に女子プロ野球の試合を見に行って、高校の先輩がプレーしている姿をみて
「かっこいい、自分もこの舞台で一緒にやりたいなぁ」って憧れました。
でも、親にはなかなかプロになりたい意思を伝えられず、大学進学を考えているフリをしていました(笑)
3年生の夏休みの最後、女子プロ野球入団テスト2週間前のタイミングでやっと親にプロになりたいことを打ち明けたら、承諾してもらえました。
大学に進学したら男の子と一緒にやるつもりだったので、せっかく女子プロ野球ができたし、私が野球が大好きなことを知っていたので、その道を選んでも良いと親も考えてくれたみたいです。
――京都は全国の中でも女子野球が盛んな地域ですが、女子野球は今後どうなってほしいと思われますか?
ゆくゆくは男子の高校野球のようになってほしいですね。
高校ではまだ女子野球部がある学校は少ないので、今は全国大会しかないです。
いずれは男子のように地区予選を経て、全国大会に行くような形になってほしいと思っています。
女子の野球人口は少ないのは、中学でやめてしまう子が多いからだと思います。
まず京都などの都会から女子中学・高校野球が浸透することで、全国に拡大していってほしいですね。
――京都のチームでプレーできていることに対してはどう感じていますか?
今日練習終わりに自転車屋さんに行ったんですけど、そこのお店の方がフローラのことを知っていてくださって。
嬉しかったですね、地域に根付いていることを実感しました。
最近は試合を見に来て下さる方も増えていて、少しずつ女子野球が京都の人々の間で広がっていると思います。
やはり地域の方に応援されてこそのプロスポーツなので、1人でも多くの京都の方に応援していただきたいです。
――京都でオススメの食べ物はありますか?
私、ラーメンとか焼肉が好きで1人でもよく行くんですよ。
「和醸良麺 すがり」とか麺ビストロ「なかの」とか好きですね。
両方とも四条新町にあるんですけど、すがりの方は特にもつのつけ麺がオススメですね。
――もし野球選手じゃなければ、何をしていたと思いますか?
野球選手じゃなくても、野球の現場にいたと思います。
大学に進学したら教員免許を取るつもりだったので、中学校で野球を教えたいですね。
野球部女子お断りの学校とかあるんですけど、私はウェルカムです。
野球で女子が活躍する環境を作りたかったです。
――最後に京都の方にメッセージをお願いします。
女子野球には男子野球にない魅力が沢山つまっていると思っています。
試合を見に来てよかったと思わせる自信はあります!
一度騙されたと思って是非来てほしいですね。
初めて試合を見に来た方とハイタッチをすると、「楽しかった」「またみたい」と言われることも多いので。
是非見に来てくださいね。
野球をしている子たちには是非野球を楽しんでもらいたい。つらいこともあるけれど、楽しむことを忘れずに。
小西 美加 選手
ポジション:投手
出身:京都市
京都オススメスポット:鴨川
――まずはなぜ野球を始められたのか、教えてください。
兄の影響で始めました。
私が子供の頃は女の子は野球をしてはいけない時代で、中学では野球ができませんでした。
なので、代わりに中学や高校生の頃は陸上やソフトボールをしていました。
でも私は「女子は野球をしてはだめ」と言われたからこそ「絶対野球やるんだ」って燃えた部分がありましたね。
――体を動かすことが好きだったんですね。
いえ、元から好きだったわけではないです。
体を動かすことの楽しさを野球が教えてくれたというか。
努力すれば上達するということ、スポーツの楽しさを私は野球から学びました。
――ではなぜ、プロ野球選手になろうと思ったのですか?
バレーやバスケと違い、日本スポーツを代表する野球と相撲だけが男女差別を受けている状況に昔から不満は持っていました。
最初に女子プロ野球創設の話を聞いたときは半信半疑で、リーグが創設されても、失敗するのではないかと思っていました。
でも社長の思いを聞いて、本気度が伝わってきて。
野球は昔から好きだったので、野球選手になることを決心しました。
――京都は全国でも野球が盛んな地域ですが、それに対してどう思われますか?
西京極にわかさスタジアムという良い野球場があります。
ここを中心に女子野球が全国に広がっていってほしいと思っています。
大きな視点でいえば、今後世界に広がっていってほしいですね。
今女子野球は日本が圧倒的強さを誇っています。
プロ選手の世界的なレベルが上がれば、女子野球自体ももっと今後広がっていくのではないかと思います。
――京都のチームでプレーしていることにはどう思われていますか?
私京都が大好きなんです。
京都から出たいと思ったことがないですね(笑)
生まれも育ちも京都なので、お寺はどこの町にも必ず1個はあるものだと思っていました。
自然が豊かで道も分かりやすい京都は最高ですね。
そんな京都を拠点とするフローラでプレーすることで、地元に恩返しできている部分もあるのではないかと思っています。
――京都でオススメの食べ物はありますか?
たくさんありますね(笑)
高校生の頃は学校近くの「コロッケ中村屋」によく行っていました。
実は裏に本店があって、本店の方が10円安いんです。
今も嵐山に行くと必ず食べますね。
お土産ならマールブランシュの「茶の菓」がオススメです。
このお菓子は100人中100人が喜ぶお菓子だと思っています。
――最後に京都人にメッセージをお願いします。
フローラは地域に密着した野球チームでありたいと考えています。
選手の派遣活動も積極的に行っているのでお力添えできることがあれば是非呼んでくださいね。
応援もよろしくお願いします。
さいごに
最後にオフショット!
取材中、3選手とも和気あいあいとしており、仲の良さが伝わってきました。
2020年3月28日(土)・29日(日)には、10:00からわかさスタジアム京都(西京極)にて
女子プロ野球2020 開幕 京都フェスが行われます!
是非見に行ってみてくださいね。
この記事を書いた人: 京トーク編集部
京トーク編集部です。
大好きな京都で生活をし、京都に住んでいる人や京都を訪れる人に、もっと京都を楽しんでほしい!と思い、日々記事を更新。
チームの仲間たちと共に京都の魅力を発信していきます!
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