【学生団体Vol.3】温かい仲間と共に皆の居場所をつくる「学生団体SMILE」
広報記事で学生団体を応援するシリーズ第3弾!
今回は、“全ての人にイキテルを。”という理念のもと、人々の居場所づくりに取り組まれている「学生団体SMILE」さんです。
「居場所がない」と感じる人をサポートするため、女子高校生とおばあちゃんをつなげたり、トークイベントや勉強会を行ったりと幅広く活動されています。
インタビューに答えてくださったのは、つい先月、団体の代表に就任した細川さんです。
学生団体SMILE代表・細川千夏さん
京都大学総合人間学部2回生。
大学生活になじめずしんどい思いをしていた1回生の春に学生団体SMILEの温かい雰囲気に魅了されて加入。
2018年10月に学生団体SMILEの代表に就任し、現在に至る。
居場所づくりのためのサークル
──学生団体SMILEはどのような経緯で始まった団体なのでしょうか?
設立者・迫の友人が性犯罪被害に遭い、自殺未遂をしたことがきっかけでした。
そういった傷ついた人のサポートのために、居場所づくりをしようという思いで立ち上げた団体です。
──細川さんはどういった経緯でこの団体に入ったのですか?
もともと大学では社会系の団体に入ろうと思っていました。
学校で社会系の団体の紹介があって学生団体SMILEを知ったんです。
メンバーが温かく、仲良い雰囲気が良いなあと思い、その場で入部を決めました。
女子高校生とおばあちゃんをネイルでつなぐ「S-team」
──SMILEは普段、どのような活動をされているのでしょうか?
主に4つの活動をしています。
1つ目は「S-team」で、女子高校生とおばあちゃんをネイルでつなぐ事業です。
おばあちゃんに対して女子高校生がネイルをすることで、女子高校生は自分の得意なことで活躍できますし、おばあちゃんにとっては、普段会えない若い人に会って元気をもらうことができます。
──両者にとってプラスになりますね!
女子高生は発達心理学的にも悩みの多い時期で、自分の価値は何だろうとか考えてしまいがちです。
でも「S-team」なら女子高校生が得意なネイルで、人の役に立つという活躍の場を提供できるのではと考えました。
また老人ホームで暮らすお年寄りは、若い人との交流がほとんどなく、閉鎖的になりがちです。
しかし、そこに若い人たちが入ることで、気持ちが明るくなり、元気になります。
──どれくらいの頻度でこの事業を行っているのですか?
およそ月1回の頻度でこの事業を行っています。
京都市の老人ホームと提携しており、そこのおばあちゃんにネイルをさせてもらいに行っています。
おばあちゃんへのネイルだけでなく、おじいちゃんとお話したりもしているんですよ。
来てくれる高校生は基本的にホームページで募集しています。
高校生は大学受験を少し先に控えた、1・2年生が大半です。
また、男子高校生もチラホラいてネイルをしてもらうこともありますよ。
「S-team」に参加した学生は、高校生メンバーとして登録してくれています。
高校から大学に進学しても続けてくれて、そのまま大学生メンバーとして運営に携わってくれた学生もいます。
──メンバー構成はどのようになっているのですか?
運営は大学生がメインですね。
大学生メンバーは現在9名いて、大学はバラバラです。
大学は、京都大学、同志社大学、関西大学など色々ですね。
高校生は「S-team」か「ごはん事業」で関りを持ってくれています。
大阪の子が多く、高校生メンバーは10名ほどいます。
──この「S-team」の事業について参加者からはどのような感想をもらっていますか?
高校生の参加者は、「すごく刺激になった」という感想を言ってくれています。
祖父母を含めた3世代で暮らす家庭が少なくなった時代に、このようにおじいちゃんおばあちゃんと触れ合う機会は、とても新鮮なんだと思います。
また、ネイルは「難しかったけど、すごく楽しかった」という声が多いです。
おばあちゃんの感想としては、若い聞き相手がいるというのがすごく嬉しいみたいで、よくおしゃべりしてくれます。
他の利用者さんにネイルを自慢したりと、機嫌が良いです。
──参加者からも好評なんですね。
ちなみに、「S-team」の名前の由来は何ですか?
「自己肯定感」を英語にすると”self- esteem”です。
SMILEというteamで女子高生とおばあちゃんの自己肯定感を育んでいこうという意味を込めて、esteemとSMILE teamをかけてS-teamにしたんですよ。
トークイベントとハンドマッサージを実施「ライフ in 灯(ライフ イン ライト)」
──「S-team」は高校生とおばあちゃんをつなげるという斬新な切り口が面白いですね。
他にはどのような取り組みをされているんですか?
主な活動の2つ目は、「ライフ in 灯(ライフ イン ライト)」です。
これは、京都府・京都市主催の自殺予防啓発イベントです。
イベントは京都府、京都市、こころのカフェきょうと、京都自死自殺相談センターSotto、SMILEの5団体で運営しました。
今年はゼスト御池が会場で、学生団体SMILEはネイルとハンドマッサージブースを出しました。
また、運営5団体の自殺予防に関する取り組みを道行く人に知ってもらうために、リレートークをしました。SMILEは司会を担当させていただいたんですが、官・民・年齢の垣根を超えていろんな団体の人が顔を合わせて一つのことについてお話しするのは素晴らしいなあと思いました。
「居場所」を軸に学ぶ勉強会、毎週のミーティング
──他にはどのような活動をされているんですか?
主な活動の3つ目は、勉強会です。
これは、メンバーが興味のあるテーマについて調べてそれをプレゼンし、ディスカッションするというものです。
先日は、看護の専門学校に通うメンバーが「母性」をテーマに勉強会をしました。
ドラマと看護の現場の違いを実体験を基に話してくれたほか、赤ちゃん連れのお母さんが実際に参加してくれたりと、温かい勉強会になりました。
──どのような思いで勉強会をされているんですか?
SMILEの理念として「居場所」への思いがあるので、それに共感してくれた人がメンバーに入っています。
居場所づくりをするにあたって、問題意識や知識を共有することが大事なので、勉強会を行っています。
また主な活動の4つ目は、毎週のミーティングです。
ミーティングでは、全ての活動の振り返りをし、今後の方針を決めます。
団体の活動の根幹となる、大切な時間ですね。
新入生やゲストがいるときはポップな議題や雰囲気にしたり、事業について話すときは真剣に話したりと、臨機応変にメリハリをつけてミーティングをしています。
ミーティングのあとはみんなでご飯に行くこともあります。
ほっこりとした雰囲気でご飯を食べる「ごはん事業」
──ご飯に関してですが、先ほどお話にも出てきたごはん事業って何ですか?
ごはん事業は、ごはんを作って、食べながら語り合うというものです。
ごはん事業という名前ですが、正確には「事業」ではないですね(笑)
居場所を作るにあたって、過去のつらい経験や自分の内面を話して、関わっていくことが必要なんです。
でも自分の内面を話すことって信頼している人に対してしかできないじゃないですか。
だから信頼関係を作るために、まずは皆が打ち解けることが大切です。
そこで皆が打ち解ける機会を持とうと考え、ごはんを食べながら語り合う「ごはん事業」を始めました。
──ごはん事業はどれくらいの頻度で行っているんですか?
不定期ですが、だいたい月一回開催しています。
北青少年活動センターの調理室を貸してもらい、メニューを決めて材料を持ち寄ります。
みんなでご飯をつくり、食べながら話をしたり、ゲームをしたりしています。
ごはん事業は、ほっこりした雰囲気で、ご飯を食べるだけなので行きやすいですね。
良い人たちに囲まれて、ポジティブな姿勢を身につけることができた
──細川さん自身、SMILEに入る前と入った後で変化はありますか?
高校生までは自己責任、個人主義な部分があったんです。
今苦労しているのは、昔自分が頑張らなかったせいだと思ってしまいがちでした。
でも大学でSMILEに入ってからは、自己責任ではなくて周囲の環境の影響も大きいということが分かりました。
その結果、何でも自分のせいだと抱え込まないようになりました。
またSMILEのメンバーは本当に温かくて良い人たちばかりなんですよ。
そういった人たちと一緒に活動するなかで、「ステキ」「ありがとう」などのポジティブな語彙を得ることができました。
──SMILEでの活動を通して、印象に残っていることは何かありますか?
「S-team」でのおばあちゃんの様子が印象深いですね。
例えば男子高校生がおばあちゃんにネイルをしてあげたら、「あんた男前やねー!」と態度や表情が若くなるんです。
すごく楽しそうにネイルされているおばあちゃんの様子を見て、良いなあと思いますね。
また「Life in Light」では、役所やNPO団体さんに混じって私たち学生団体がいることで、周りを和ませることができたみたいです。
リレートークの司会を務め、各団体の橋渡し的な役割を担うことできたことは印象に残っていますね。
団体内外で居場所づくりを頑張りたい
──SMILEの今後の展望は何かありますか?
今後は居場所を「居場所学」として学問的に追究し、勉強会も開いていこうと思っています。
居場所って抽象的で、論文を調べてもあまり載っていません。
なので「居場所学」として学術的に研究し、普遍的な居場所の条件を探そうとしています。
また、個々人にとっての居場所を提供するのもすごく大事です。
例えば、大人数でワイワイするのが居心地良いという人もいれば、居心地悪いという人もいます。
このような個人の好みや経験も踏まえて、普遍性と個別性を考えて「居場所」を作っていかなければと思います。
また、頑張っているメンバーがしっかりやりがいをもって取り組めるようにしていきたいと思います。
団体外はもちろん、団体内においてもメンバーの居場所を作れるようにしていきたいですね。
そのために、今後の組織の方向性も考えていこうと思います。
──サークルを探している学生に伝えたいことはありますか?
「居場所」は誰に対しても必要なものだと思います。
私たちは「居場所」づくりに取り組んでいる団体ですし、「居場所」という言葉に関心をもってくれた方はSMILEを見てくれたら嬉しいです。
また他の方法で居場所づくりをされている団体もたくさんあると思うので、そうした他団体さんの活動は私たちも参考にさせていただきたいと思います。
──本日は取材をお受けいただき、ありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ
今回は、学生団体SMILEさんに取材をさせていただきました。
取材をお受けいただいた細川さん、本当にありがとうございました。
SMILEは、「居場所がない」と感じる人をサポートするために活動されています。
女子高校生とおばあちゃんをつなげたり、トークイベントを行ったりと幅広い活動を通して、居場所づくりに取り組まれているのが印象的でした。
とくに「S-team」は、高校生とおばあちゃんが双方にとってプラスになる素晴らしい事業だと思いました。
誰にとっても必要なもの、「居場所」。
この居場所に関心がある方はぜひ一度、SMILEさんを見てみてください。
温かい雰囲気の仲間と共に、居場所づくりに取り組んでいけますよ。
【学生団体SMILE】
学校 | 京都大学、同志社大学ほか |
---|---|
メンバー | 大学生9人、高校生約10人 |
活動内容 | 居場所づくりのためのサポート |
活動時間・場所 | 週1日 キャンパスプラザ京都、北青少年活動センターほか |
ホームページ | 学生団体SMILE ホームページ |
@smile_memory5 |
この記事を書いた人: 白麻呂
【しろまろ】京都の大学に通う色白男子。京都在住10年以上。京都の魅力を地元民の目線からお届け!マンガ、寝ることが大好き。
仲間の誕生日にはかかさずプレゼントを渡す「気遣い大魔王」。
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