お客様にどれだけの恩返しができるか【初代 麺家 あくた川】
あなたは、知っていますか。
京都・今出川の地に連日長蛇の列をつくる、あるラーメン屋の存在を。
そのお店の名前は…
“初代 麺家 あくた川” ッッッ!!!
お店の目と鼻の先にあるのは、同志社大学。
この同志社大学に通う学生を中心に、多くのファンを獲得しているのが初代 麺家 あくた川です。
こだわりの家系ラーメンと、+50円でおかわり自由のご飯が学生たちから大きな支持を集めています。
今回は、この初代 麺家 あくた川さんに伺い、人気の秘密を伺いたいと思います。
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地域一番のラーメン屋になる
──本日は取材をお受けいただき、ありがとうございます。よろしくお願いします!
柴田:よろしくお願いします!
──以前、同志社大学の学生100人にアンケートを取ったところ、38票で初代 麺家 あくた川さんが堂々の第1位を獲得されました。おめでとうございます!
柴田:ありがとうございます。
ただ、38票は悔しいですね。
──えっ⁉ 4割近くの得票率で圧倒的1位ですよ?
柴田:まだまだです。
店内にダルマがあるんですけど、今は左目だけが塗られています。
あと右目は目標が達成したら塗ろうと思っています。
その目標として、「地域一番のお店になる」というのを掲げているんです。
──今出川では38票で地域1位ですけれど…。
柴田:他の62票は他店さんに流れていますよね。
だから、目標は100人中の100票です!(笑)
「地域」の定義も広めていきたいですね。
今出川から拡大して、上京区1位になりたいです。
──なるほど! 目標が高いんですね。
常にベストの状態のラーメンを出したい
──「麺家 あくた川」を始められたきっかけは何だったのでしょうか?
柴田:社長の芥川と、三代目 麺家 あくた川店主・平山が以前の職場(親会社:ラーメン武蔵屋)で同僚という関係でした。
そこで2人が、京都にラーメン屋を開きたいと思い、始めたのが「麺家 あくた川」です。
最初はなかなかお店を出すための物件が見つからず苦労したようです。
しかし自転車で走り回り、なんとか見つけたのがこの今出川の物件ですね。
──1階のカウンター席は8席と少ないですね。
柴田:以前は1階のカウンター席のみの営業でした。
今ではおかげさまで人気が出てきて、2階も使うようになりました。
ただ、2階を使うとラーメン作りが間に合わない。
お客様を待たせてしまうこともよくあります。
常にベストの状態のラーメンを出したいから、妥協はしないです。
だから2階席を使わないこともありますよ。
ラーメン作りのこだわり
──ラーメン作りのこだわりについて教えてください。
柴田:ラーメンは全てにこだわっていますが、やっぱり一番のこだわりはスープです。
工場で作ったスープを使用するのではなく、2つの寸胴で継ぎ足し継ぎ足し作っています。
継ぎ足しでスープを作るのは、家系ラーメンの特徴的な作り方と言えますね。
工場で作られたスープはどのお客様にも均等な味が出せるという利点がありますが、うちのラーメンはその都度で味が変わります。
例えば7名のお客様が入りました。
その7名に出したラーメンは同じ味になると思います。
でも次に7名様が入りました。となると、その次のお客様からは味が変わります。
これが面白いところで、常に一緒の味のスープはあり得ないんです。
──そうなんですね。
ラーメン作りに何かマニュアル等はあるのですか?
柴田:僕らのラーメン作りにマニュアルはありません。
もちろんベースはありますが、それに加えて、ラーメンを作る人それぞれが付け加えたいものが大切になります。
「ベースはきちんとしつつ、美味ければ良い」という方針でそれぞれ自由に作っています。
だから作る人によって、またお店によって、ラーメンの味が違います。
継ぎ足し継ぎ足し作るからこそ、味が変わります。
だから難しいし、スープづくりは職人の仕事なんです。
──店長の柴田さんもラーメン作りで苦労されたことはありますか?
柴田:僕は半年間みっちり修行をしてラーメンの作り方を学びました。
この半年間は社長の芥川にバッチバッチにラーメンの作り方を詰め込まれましたね。
辞めたいと思ったことは1000回以上ありますよ(笑)
最初のうちは美味しく作れないし、難しい。
スープを焦がしてしまったことも何度もありました。
全ての具材、調理法にこだわる
──具材についてのこだわりはありますか?
柴田:全ての具材、調理法にこだわっていますが、とにかくスープを一口飲んでほしいですね。
お客さんの一口目の反応を大切にしています。
これをファーストチェックって言ってるんです。
一口目がどんな反応なのかによって、スープをその都度調整しています。
──鶏ガラとんこつのスープは、濃厚で美味しいですね。
柴田:スープに使う鶏ガラは産地にこだわっています。
産地や業者を変えながら、その時々で美味しい鶏を使っています。
指定していたものと別の産地の鶏が届いたときは、「これどうなってるんですか?」と業者に対して言いますね。
ちゃんとした鶏が届かなかったら、「これで適当なスープを作れって言うのか!?」と怒ります(笑)
それくらい鶏にこだわっているんですよ!
──他の具材については何かこだわりはありますか?
柴田:スープ以外の具材にもこだわっています。
ほうれん草はシャキシャキ感を重視して、実は小松菜も混ぜているんです。
──えぇ!そうなんですか!
柴田:家系ラーメンでほうれん草は定番ですが、小松菜を入れているのは他店ではあまりないのではと思います。
また、海苔も良いものを使っています。
最近はあまり海苔が取れなくなっていたり、取る人が少なくなっている状況もあり、価格が高騰しています。
しかし、あくた川ではこだわって厚みがある上質の海苔を取り寄せています。
──確かに海苔は厚みがありました。
柴田:また、チャーシューは低温調理で作っているんですよ。
半日くらい時間をかけてじっくり作っています。
麺は酒井製麺のものを使用しています。
家系ラーメン御用達の製麺所の麺ですね。
──鶏ガラ、ほうれん草、海苔、チャーシュー、麺と全ての具材にこだわり抜いているんですね。
食べ盛りの学生に嬉しい「ラーメン並650円・おかわり自由のご飯50円」
──麺家 あくた川さんは、+50円でおかわり自由のご飯も特徴ですが、このご飯についても何かこだわりはありますか?
柴田:ご飯は炊き方にこだわっています。
実は、炊くときに氷を入れているんです。
氷をいれて水と一緒に炊くと、時間がかかる分、お米の芯まで火が通りふっくらと炊き上がります。
氷を入れて炊くのは、一人暮らしの学生さんにもおすすめですよ。
ただ失敗するとお米がびちゃっとなるので注意が必要ですね。
──氷を入れてご飯を炊いているんですか。今度やってみたいと思います!
麺家 あくた川さんはご飯のおかわりが自由ということで、1日にたくさんのご飯を炊く必要がありそうですね。
柴田:1回5キロを1日6、7回は炊きます。
学生さんはよく食べるなあと思います(笑)
──ラーメンは並が650円、おかわり自由のご飯が50円と、とても良心的な価格ですね。
なぜこの値段で提供しているのですか?
柴田:親会社の武蔵屋のラーメンが650円なんですよ。
だからうちもラーメン並を650円で提供しています。
具材にもこだわっている分、この値段は店的に少し苦しいのですが、それでもやりくりしながら頑張っています。
ご飯は+50円で食べ放題なので、お腹いっぱい食べたい学生さんに喜ばれますね。
ラーメン並とのセットで、700円で鬼のようにたくさん食べられる(笑)
お客さんの名前や顔、味の好みを把握
──麺家 あくた川さんは接客が素晴らしいことでも評判ですね。
来店時や退店時に、まるで家族のように暖かく、また元気よく声をかけてくださいます。
何か接客について社員教育等をされているのですか?
柴田:接客にもマニュアルはありません。
「活気が良い」とお客様に褒めていただきますが、学生さん相手だからこそできる接客ですね。
一般のお客様相手の接客だと、今のようにできていないかもしれません。
ラーメン作りについてもそうですが、僕たちはマニュアルがないから、いっぱい失敗するし、そこから学びます。
──店員さんに顔を覚えてもらい常連になると、トッピング等のサービスを受けることができるようになる「常連帯の制度」も特徴的ですね。
たくさんのお客さんが来られると思いますが、顔や特徴はそれぞれ覚えられるのでしょうか?
柴田:よく来てくれないとお客様の顔は覚えられないです。
最初はたくさんの人に白帯を与えていましたが、最近は覚えきれないくらいになりました。
なので最近は、顔写真、名前、帯、お好みをすべてメモして管理しています。
この帯の制度はうちの大きな特徴でもあるので、著作権を取ろうかという話も出ていますよ。
総代 麺家 あくた川が近日オープン
──こだわりの家系ラーメン、おかわり自由のご飯、活気ある接客、帯の制度など多くの要素が相まって、あくた川さんの人気は凄まじいですね。
柴田:おかげさまで今度、百万遍の京都大学前に「総代 麺家 あくた川」がオープンします。
初代、二代目、三代目のすべてを総合したお店として「総代」ができるんです。
総代の店長は、今初代で働いているケイタが担当する予定です。
──すごい出店ペースですね。
柴田:お店を始めたときの目標として、「5年以内に海外進出」というものがあるんです。
オープンして今3年目です。
あと2年なので時間はそれほどありませんが、いけるんじゃないかって思います。
──海外では、どこに出店されるんですか?
これまでと同じく、大学の近くでしょうか?
柴田:海外ではハーバード大学でしょ!(笑)
いや、冗談ですけどね(笑)
僕ら海外にもまだ行ってないし、分かりません。
でも来週には社員で台湾に行ってラーメンを勉強しに行くんですよ。
お客様に恩返しできるよう美味しいラーメンを作りたい
──麺家 あくた川さんの今後について教えてください。
柴田:今、鬼のようなペースでお店が拡大しています。
ですが、今は地盤をしっかり固めていくことも大切だなと思っています。
当たり前のことを当たり前にできるように。
僕ら全員、下の基盤を固めないとと思います。
──お店に来てくれるお客さんへの思いをお聞かせください。
柴田:おれ何度か辞めようと思ったこともあったけど、お客様の帯の数を見たら辞められない。
もうたくさんのファンがこの店についてくれているから。
帯にあるたくさんの名前を見て、これまで来てくれたお客様を思い出して踏ん張れました。
これからも、今まで来てくれたお客様に恩返しできるよう美味しいラーメンを作りたいし、それしかないです。
この人たちにどれだけの恩返しができるか、と思ってやっています。
本当にお客様ありきだし、同志社大学や大谷大学、立命館大学や京都産業大学など、この店に来てくれる学生さんにはすごく感謝しています。
──本日は取材をお受けいただき、ありがとうございました。
またラーメンを食べに伺いたいと思います!
柴田:ありがとうございました。ぜひお越しください!
まとめ
今回は初代 麺家 あくた川さんに伺い、ラーメン作りのこだわりやお客さんへの思いを伺いました。
ラーメン作りに関しては、スープ、具材、麺、など全てに関してこだわりが感じられました。
シャキシャキの歯ごたえのために、ほうれん草のほか小松菜を入れているというお話が印象的でした。
おかわり自由のご飯が提供され、食べ盛りの学生にとって本当にありがたいお店だと思います。
また店長の柴田さんがお客さんへの感謝を何度も口にされていたのが印象に残りました。
お客さんのおかげでお店が支えられ、自分もここまで頑張ってこれたという謙虚な姿勢に心打たれました。
今出川近辺で人気1位を獲得しても、さらに上を目指す志の高さ。
全ての具材と調理法にこだわったラーメンに、活気よく暖かい接客。
そして何より、お客さんへの感謝の姿勢。
連日長蛇の列を生み出す初代 麺家 あくた川さんの人気の秘密が分かった気がします。
拡大を続ける麺家 あくた川さんの快進撃は止まりません。
今出川近辺にお越しの際は、初代 麺家 あくた川さんにぜひ行ってみてください。
美味しいラーメンと最高の店員さんがあなたを迎えてくれますよ!
【初代 麺家 あくた川】
場所: 京都府京都市上京区上立売東町44
京都市営地下鉄「今出川駅」より徒歩2分
お問い合わせ: 075-411-9083
営業時間:[月~土]11:30~15:00 17:00~22:00
定休日:日曜日
席数: 8席
ホームページ:https://ag19850918.wixsite.com/mysite
Twitter:https://twitter.com/akutagawa_cd
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この記事を書いた人: 白麻呂
【しろまろ】京都の大学に通う色白男子。京都在住10年以上。京都の魅力を地元民の目線からお届け!マンガ、寝ることが大好き。
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